さまざまな事情により、勉強や人付き合いがうまくいかなかった人が、遅れを取り戻そうと努力することがある。
近道を求める誘惑
その意欲自体は素晴らしいものだが、多くの人は「一発逆転」を狙い、短期間ですべての問題を解決しようとする。例えば、数カ月で何年分もの学習内容を詰め込もうとしたり、急激に多くの人間関係を築こうとしたりする。しかし、このようなアプローチは現実的ではなく、ほとんどの場合、挫折や失敗を招いてしまう。
「歩く前に這え」という言葉がある。これは人間の成長過程を端的に表現している。赤ちゃんは生まれてすぐには歩けない。最初は泣くことしかできず、その後、寝返りを打ち、這い始め、つかまり立ちをし、よちよち歩きを経て、ようやく安定して歩けるようになる。この過程は決して省略できない。それぞれの段階で必要な筋力、平衡感覚、空間認識能力を養っているのだ。
基礎から積み上げる
この原理は、勉強や対人関係の構築にも当てはまる。高度な数学を理解するには、基礎的な計算力と論理的思考力が不可欠だ。他者と深い関係を築くには、基本的なコミュニケーション能力と相手への思いやりの心を育む必要がある。これらの基礎力は、時間をかけて地道に培うしかない。
新しいことに挑戦する際は、まず自分の現在の立ち位置を正確に把握することが重要だ。そして、目標に向かって着実に前進していくためのステップを設定する。一歩一歩の小さな進歩を積み重ねていく覚悟が必要なのだ。
現実的なアプローチ
焦って近道を探そうとすると、かえって遠回りになることが多い。基礎をおろそかにして先に進もうとしても、必ず壁にぶつかり、結局は基礎から学び直すことになる。そうなると、最初から正しい順序で学んでいれば達成できていたはずの目標に、より多くの時間を費やすことになる。
また、すべてのことを完璧にこなそうとする必要はない。自分の能力や時間的制約を考慮し、優先順位をつけて取り組むべきことを選択する判断力も重要だ。時には「これは今の自分には難しすぎる」と認識し、一時的に断念する決断も必要になる。
さいごに
成長には時間がかかる。この現実を受け入れ、地道な努力を続けることこそが、本当の意味での「遅れを取り戻す」ことになる。