現代社会において、個性的であることは高く評価され、多くの人々が自分の個性を見出そうと努力している。しかし、「個性とは何か」という根本的な問いに対して、明確な答えを持つ人は少ない。この文章では、個性の本質について私見を述べ、その意味を探求していく。
私は「個性とは他のものとの差である」と考える。つまり、個性の正体は、2つ以上のものを比較して認識される「差異」である。
例えば、黒い服を着ている集団の中に1人だけ赤い服を着ている人がいれば、その人は個性的だと言える。同様に、男性の集団の中にいる1人の女性、あるいは女性の集団の中にいる1人の男性も、個性的な存在となる。つまり、個性的であるためには、周囲と異なる特徴を持つことが重要である。
社会には、「自分探し」と称して個性を模索する人がいるが、そのような人は周囲を見回し他人と違うことをすれば良い。そうすることで、比較的容易に「個性」を獲得することができる。
自分が独創的だと思っていたことが、既に誰かによって実践されていることに気づき、落胆する人もいるだろう。そのような場合、逆説的ではあるが、他人の真似をすることも1つの方法となる。他人の真似をしていれば、完全に他人と同一になることは不可能であることに気づくだろう。その「超えられない差」を自分の個性として認識すれば良い。
興味深いのは、多くの人が「個性的になりたい」と願うと同時に、「他人よりも優れている」という願望を抱いていることだ。この2つの欲求は、よく考えると矛盾している。なぜなら、他人より優れていることは、自分と他人を一つの基準で比較することだからだ。
思うに、多くの人は自分自身に「個性」よりも「優秀さ」を求めているのではないだろうか。それならば、個性的であることを目指すのではなく、優秀であることを目指せば良い。彼らは努力の方向性を間違えている。