意思決定の方法には大きく分けて2つの種類があります。「期待効用理論」と「ヒューリスティック」です。今回はその1つのである「ヒューリスティック」について説明します。
ヒューリスティックとは
ヒューリスティックとは、必ず正解が得られるわけではないが、近似解(正解に近い答え)が期待できる意思決定の方法です。
ヒューリスティックの種類
代表性ヒューリスティック
代表性ヒューリスティックとは、ある事例の起こりやすさを典型例と類似している程度によって判定する方法を言います。
一流大学を優秀な成績で卒業した田中さんは帰国子女で学生時代にはミス・キャンパスに選ばれたことがあります。仕事は昼夜逆転することがあり体調管理には人一倍気を使っていると言います。
彼女の職業は次のうちどれでしょうか。
・看護師
・客室乗務員
・コンビニ店員
この問いに対し、高学歴で見た目も良いのだから客室乗務員だろうと判定することが代表性ヒューリスティックの例です。
可能性ヒューリスティック
可能性ヒューリスティックとは、ある出来事が起こる「可能性」を、その出来事の事例をどれほど簡単に思いつくかで推測することを言います。
英単語でKではじまる単語と、3番目の文字がKの単語ではどちらの単語が多いでしょうか。
この問いに対し「3番目の文字がKの単語」よりも「Kではじまる単語」の方がたくさん思い出せるので、Kではじまる単語の方が多いだろうと推測することが可能性ヒューリスティックの例です。
ヒューリスティックの限界
このようにヒューリスティックは個人の経験に頼る意思決定であるため、間違いを犯しやすいという欠点があります。そのため実際の意思決定は、前回紹介した期待効用理論とヒューリスティックの組み合わせにより決まります。
できることなら必ず成功する完璧な意思決定をしたいものですが、これは全知全能になれない人間の限界であるため受け入れるしかありません。